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ドクトルペロ [ペロ]

今、私の目の前には一人の男性と一人の女性、それに一匹の犬がいる。それだけの事なら別段変わった事ではない。

私はその二人と一匹と同じ部屋にいる。清潔で簡素でこざっぱりとした部屋だ。外の風景はどんなものだろう。ブラインドが下ろされていてそれを知る事は出来ないが、季節は夏真っ盛り。強烈な日差しと真っ青な空にこんもりと盛り上がった雲がそこには有るはずだ。

室内を飾りたてる調度品の類は無く有るのはどこにでもある様なテーブルと椅子、それに大きめなモニターがテーブルの横に用意されていた。
テーブルを挟んで二人と一匹は私の前に座っている。

ここはある大学病院の一室。私は私が今後受ける手術の説明を受けている。
モニターの近くに座った30代後半といった感じの男性がモニターに映される画像を様々に変えながら専門用語を散りばめつつも丁寧に説明を続けている。
犬を挟んで座る女性は20代後半に差し掛かった所だろうか。男性の説明にふんふんと頷きながら何かのメモをとっている。
そして二人の間の真ん中に座っている犬は今大きなあくびをしたところだ。

「こらっ! ペロ!」
女性が微笑みながら注意しても犬は素知らぬ顔。そして今度は小さなあくびをした。
「もー、ペロったらあ」
室内に和やかな空気が流れた。

私は手術の説明を受けている。
かなり大掛かりな手術になるという事だ。
執刀するのは私の目の前で説明を続けている男性。恐らくこちらがその説明を理解していない事は承知の上だろうがそれでも説明はしなければならない。
女性は手術に関する多くのサポートをする事になるのだろう。

で、犬である。何故ペロはこの部屋にいるのか。
それはこの手術を指揮するのがペロだからだ。
犬の嗅覚がものによっては人の1億倍優れているのはよく知られている事だろう。その嗅覚を活用しようというのだ。訓練された犬が悪性のもの、今はまだ隠れているがいずれ悪性になるものを嗅ぎ分けそれを人間が取り除く。
手術の成否はペロにかかっている。ただ、今現在ペロが一番興味があるのは自分の股間の匂いであるようだ。

説明は続いている。
女性の相槌が如実におざなりになっている。
ペロは自分の股間を嗅いで満足している。
私は今だ終わりの見えない説明を受けている。

2017年ジャーマンシェパードカレンダー

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